今週の猫スー&モー

第26回  このごろの2匹 

 さて我が家の猫たちだが、引っ越し後も元気である。
 スーは驚くほど食欲が増した。以前はたいして食べないのに太っていて、そういう体質なのかと思っていたが、いまはガツガツ食べ、やはり太っている。どっちにしろ太っているのだ。持ち上げると身が詰まっていて、ずっしり重い。6歳。女盛りなのか。関係ないか。
 もうじき3歳になるモーは以前のように階段がないところへ引っ越したため、少々運動不足のようだ。それを補うためか、しょっちゅうスーに飛びかかっているのだが、最近はスーが飛びかかることもあり、廊下を転げ回りながら2匹がキックを浴びせ合う光景も珍しくない。
 仲が良くなったもんだ。前の家のように階がわかれておらず、互いのテリトリーをキープすることもできないため、より親密になる道を選んだのか。いや、そうではないだろう。2匹は手を組む必要性があったのだ。
 第3の人間(赤ん坊)の出現である。いきなり登場したライバルに親はかかりきりだから、猫同士でよく遊ぶようになった正解だろう。自己主張の激しさにおいても、手が掛かるという意味においても、赤ん坊は強力な存在なのだ。
 今夜も店主がふとんにもぐりこむと、すかさずスーがやってくる。しばらくするとモーもきて、ふとんにもぐったスーにちょっかいをだす。と、ガマンしきれずスーが飛び出し、待ってましたとモーが走り回り、その音に目覚めた赤ん坊が隣室で泣き始め、店主の睡眠時間はどんどん短くなってゆくのであった。


   
第1回 スーの生い立ち

 98年の12月初旬、我が家にふらふらとやってきたノラ猫がスーである。たぶんアメリカン・カールって種類の洋猫で、耳がふにゃふにゃと外側にカールしているのがおもしろく、かまっていたら図々しくあがりこんできたのだ。もともと家で飼われていたのが捨てられたのだろう。爪を立てることもなく、よくじゃれる。
 なぜ捨てられたか。それはスーの耳が左右不対照でバランスが悪いからである。そこがおもしろいと思うんだけど、そんなのは血統書の世界ではオチこぼれだから追い出されたに違いない。ぼくは数週間前にこの猫が近所の公園をさまよっているのを見ていたから、たぶん1カ月ほどノラでいたはずだ。猫スーのスーは、柄がすすけているのと、ぼくの好きなヴィヴィアン・スーからとった。
 当時のスーは中猫サイズで、間抜けな顔と人なつっこさを武器に、里親を捜していたのだろう。そのてん、我が家は絶好であった。なにせ、ぼくは昼間、自宅にいることが多く、相方も同様である。ライバルになりそうな子供もいない。スーは「この人間にメシを与えてもらい、ぬくぬくと生きていこう」と決心したようだ。
 そのうちスーは食事が済んでも出て行かなくなり、アホな人間は猫ごときのために引っ越しを決心。思うツボの展開で、ノラ猫は永久就職先を確保したのだった。
 新居はマンションなので外に出られない。そこでスーは、2階建て形式になっている新居の階段で、日夜トレーニングに励んだ。その結果、強靭な足腰を持つ猫へと成長していくのだが、年が明けたある日、ついにくるべきときがきた。子供だとばかり思っていたスーがいきなり発情期に突入したのだ。この日から、北尾家の苦悩の日々が始まった……(つづく)

●猫に学ぼう……スーは今日、遊んでもらえないストレスを風呂のスノコかじりで発散。怒られて3分間だけしおらしくしていたが、目を離した途端に階段へかけ登り「遊べ遊べ」と催促をはじめた。嫌な記憶はすぐ忘れる。見習いたいポイントである。

 第2回 スーの発情

 まだ子猫だとばかり思っていたスーが発情したのは99年1月のことだ。妙にウルサイとは思っていたが、ある朝階下に降りてゆくと、スーがもだえながらお尻を突き出しているのである。さらによくみると局部からは分泌液がこぼれているのである。悩ましげに泣く姿はいろっぽく、あのままノラでいたら雄猫どもが放っておかないだろうと思われたが、ここは家の中。スーの望みをかなえてくれる相手はいない。発情の始まりから終わりまでは約1週間。おさまったと安堵するのもつかの間、数日後にまた発情が始まった。せっかくだから一度くらいは生ませてやりたいものだと、ホームページで声をかけたりもしてみたが結婚相手は見つからない。
 5度目の発情に突入する頃には、飼い主はノイローゼ状態になっていた。それに、いつまでも発情させておくのもかわいそうである。結局、家猫として育てるのなら避妊手術をさせるしかないと決め、病院に連れていった。
 戻ってきた猫スーは手術のせいかしばらくぐったりしていた。傷口をなめないようにシャンプーハットのようなものを首につけている姿はなんとも情けない。飼い主は子供の産めないカラダになった猫を見て「一生面倒みてやらんといかんな」と心に誓ったものだ。
 2、3日するとスーはシャンプーハットをつけたまま、以前のように遊ぶようになった。ハットの角をあちこちぶつけながら、よろよろ走る。ハットがとれる頃には、もうすっかり元気。手術のために剃っていた腹の毛も少しずつ生えてくる。もう大丈夫だとぼくは思った。ところが、そうではなかった。手術とハットによる拘束は、スーに思わぬストレスを与えていたらしい。足元をウロウロしている猫を見おろしたとき、ぼくは異変に気がついたのだ。
 スーの背中に1円玉大のハゲがあるではないか!       (つづく)

●猫に学ぼう!
 スーは人間にかまってもらえないと、テレビの前に陣取って画面が見えないように邪魔をし、自分の存在をアピールする。注目を浴びるには実力行使も辞さず。生きるヒントになるポジティブな姿勢である。

       

第3回 スーの試練
 無惨なハゲ猫になったスーを病院に連れていくと「原因不明」と言われてしまった。まだコギャルくらいの成長度なのに、きっと手術とシャンプーハットのストレスで神経性脱毛症になったに違いない。あるいはホルモンのバランスが一時的に狂ってしまったとか。
 今度はシャンプーハットなど使わず、ハゲたところをあまりなめないようにバンダナを巻き付けることにした。バンダナの必要もないかもしれないんだけど、ひょっとしたら階段からズリ落ちてのケガとかかもしれないからだ。
 このまま一生ハゲ猫ということも十分考えられる。そうなったらハゲスーに名前を変えねばなあ、と思っていると、しばらくして産毛らしきものが生えてきて、その後順調に生え揃ったではないか。このころになると完全に元気を取り戻したスーは、以前にも増して遊びに全力投球するようになった。人間の都合で避妊手術をさせてしまった罪悪感から、甘やかしはじめたのもこのころからである。この猫は顔が小さく、耳のせいで幼く見えるので油断していたのだが、尻尾は太く長く、骨格も太い。アメリカン・カールが混じっているかそのものなので、それなりに大きくなる要素はあったのだ。
 連日の階段駈け登り特訓の成果も虚しく、猫スーは太り始めた。顔だけは小さいまま、腰から下が太め。アメリカかロシアのおばちゃん体型である。毛色がくすんでいるため、うずくまったその姿はまるでツチノコだ。
 これはいかん。食生活を見直さねば。
 甘やかしたといっても食事はカンヅメなんだけどね。ただ、よく食べるのだ。つらい野良猫時代があるせいなのか、あるだけ食べようとする。腹一杯食べた後でも、人間が食事していると、まだ食べたそうにしている。そんなときはきびしくしつけなければいけないんだけど、ついついアジの干物の残りとかあげちゃうんだよなあ。それだけならまだマシだが、他にも連日のように食べているものがある。それが、デブ化の原因だと考えられる。
 アンコである。猫スーは大の甘党なのである。(つづく)

第4回 スーの好物
 猫スーの長所は、文句を言わずになんでも食べることである。しかし、まさかアンコを食べるとは思わなかった。あるとき、もらいものの和菓子を食べているとクンクン寄ってきたのでアンコをひとかけ差し出すとペロッと食べたのだ。変わった猫である。そんな具合だからクリームも好きだし、さつまいももうれしそうに食べる。そういうときの表情は幸せいっぱい。食事の後でもガンガン食べる。別腹らしい。
 かと思うとせんべいにも目がないあたり、人間と一緒というか、そこらへんの女の子を彷彿とさせる。
 ヘルシー志向も持ち合わせているようで、朝飯が和食の時には、ちゃぶ台に手をかける勢いで好物をせがむ。海苔である。与えると、ばりばりと器用に食べてしまう。
 学生の頃飼っていた猫は、缶詰が買えなかったのでぼくと同じものをいつも食べていた。ラーメンとかパンとか。その猫も海苔は食べなかったと思う。名前はシービーとブルーだったっけな。シービーってのはぼくが一番好きだった馬、シービークロスから拝借した。ブルーは目が青みがかっていたことと、当時RCサクセションが同名のアルバムをだしたので、そうつけた。あの猫たちは飼い主のせいでいつも腹を空かせていて、あげくには、無断で飼っていたのが大家にバレて、友人のところにもらわれていった。大量のノミを残して。げ。あれからもう18年か。
 食べたらうんちである。我が家では玄関先にトイレを設置しており、食事中にうんちをされると、そこはかとなく匂うので嫌なんだけど、きっちり毎朝10時頃にうんち。うらやましいほど快食快便だ。乾燥フードに変えてからは、うんちが堅くなり、コトンコトンと音がする。
 猫トイレには新聞紙を使っており、その交換はぼくの係。コトンコトンのあとは玄関に飛んでいってうんちの始末をしなければならない。
 うんちのあとは遊びの時間だ。こっちにその気がなくても、猫スーは階段で待機する。いつまでも待っている。だから、たいていは根負けしてしまう。
 どうして階段なのか。それは、ぼくと猫スーが開発した遊びが階段でしかできないからだ。実はこの猫、犬のような習性を持っているのである(つづく)。

●猫に学ぼう!
猫を見ていて感心するのは忍耐力である。いつまでもボケーっと遊んでくれるのを待つことができるなんて、ひとつの才能ではないか。待てば海路の日和あり。

第5回 スーの遊び

 猫スーが幼い頃、なんの気なしにコンビニ袋を丸めて投げたのがきっかけだった。猫の気を逸らすために投げただけだったのに、スーは素早く袋を追いかけ、口にくわえて誇らしげに戻ってきたのである。何度投げてもくわえてくる。
「犬じゃん」とぼくは言った。
「この猫は犬と一緒に育ったんだよ。それで、自分のことを犬だと思ってるんじゃないの」と相方は言った。
 コンビニ袋を丸めるとカサカサと音がする。するとスーは早くも身構え、いつでも飛び出せるようにお尻を振りながらタイミングを図る。そして、袋が飛ぶとダッシュで追いかけ、くわえて戻ってきてはポトリとぼくの前に落とし、投げろと催促する。
 すぐに飽きると思った単純なこの遊びを、スーはえらく気に入ったようで、連日の特訓となった。投げる場所も、最初はリビングでやっていたが、次第に階段に移動。足腰の強化トレーニングを兼ねるようになっていったのである。
 驚いたのは、あるときボールを投げてみたら、同じようにくわえてきたことだ。カサカサが気に入っていたのではなく、転がるものをつかまえることが好きだったらしい。ボールの導入により、投げるときのスピードは増し、壁にはねかえしたりといった不規則な動きも加わったので、スーはますますこの遊びに夢中になった。
 ぼくがボールをつかんで階段の方に歩くだけで、スーは「楽しい遊び」を予感して階段上部に駆け上がって待機の姿勢を取る。わざとムズカシい球を投げるとアクロバティックな動きを披露。なれるに従い、ボールをキャッチすることを学習してしまった。ニャンコ先生(古い)のようだ。
 疲れると、このページの最初にある写真のように、階段でダレた姿勢になる。
 こうして我が家では毎日毎日、運動不足解消のため、朝晩みっちりトレーニングが行われている。
 しかし、幼い頃からのトレーニングのためなのか、ダッシュのしすぎなのか、スーはとんでもない習慣を身につけてしまった。そのせいで、我が家ではかつて一緒に暮らしたのは犬ではなくブタではないかとの見方が強まっている。
 だって、ニャーと鳴かずにブーと鳴く猫がどこにいる?(つづく) 

第6回 鳴き人形スー
 猫は普通、ニャーとなくものと相場が決まっている。ミャーというのもあるか。ニャオとかミャオってのは変化形だな。ガオはライオンだ。GAOとかいうゲイっぽい歌手もいたがどうしているのか。どうでもいいか。GAOだもん、名前。無理があるよな。
 ひとくちにニャーといっても鳴き方ひとつでいろんな意味があるようだ。「メシ食わせろ」「遊べ」「どこにいるの?」「ひとりにしないでくれ〜」「私に注目しろ」などなど、微妙に大きさも声色も違っている。そのあたりが最近になって多少わかるようになってきた。
 ニャーはいい。だいたいわかった。しかしだ、猫スーの鳴き声は正統派ニャー系とはかけ離れたものなのだ。
 「ブー」である「ブッ」「ブブブ」「ブブッブブッ」もある。これはなんなのだ。相方などスーと呼ばずブーちゃんと呼ぶほうが多いほどである。
「ブーちゃん、ボールもってきな」
「ブー」
「ボールだよ、ほらそこにあるでしょ」
「ブブー」
 ブタと話しているとしか思えない。ほうっておくと、そのうちひとりで「ブッ」とかいって部屋をかけずり回っている。
 ブー言語の出現パターンは、返事、気合い入れ、ヨロコビのあまり、急激な動き出しに伴い筋肉に力が入るときの無意識の声、などに分類される。たとえば大好きな階段でのボール遊びでもするかと、ボール片手にぼくが階段のところへ行くと「ん?なになに」と一瞬考え込んでから「遊んでもらえるんだ」との結論に達し、うれしくなり、一刻も早く階段に上に昇ってボールを受ける態勢をとるべくダッシュする。そこでヨロコビと動きだしの「ブー」。上に到着して、いまかいまかとボールを投げるのを待つうちにこらえきれずに気合い入れの「ブブー」である。いざ投げる寸前には態勢を低くし、投げた瞬間、筋肉の伸縮に伴う「ブッブッ」がおまけでつく。まったく、笑わせてくれるやつなのだ。
 さらに、寝ているところに近づいてカラダを押すと、「ブゥ〜」とブタ返事をする。鳴き人形かおまえは。いまとなりで寝ているからちょっと背中を押してみようか。ぐい。
「ブゥ、ングブ」
 何者だよ。なんだングブってのは。
 こうして猫スーはじっとしていてもブーブークッションのようであり、遊ぶときはダッシュ、ジャンプなど、決めのタイミングでブタになるのであった。
 おまけにこいつはマイペースが信条の猫に似つかわしくない寂しんぼうでもある。次回はそのあたりについて観察してみよう(つづく)

第7回 甘えまスー
 たとえ飼い猫であろうとも、プライドが高くてこびなど売らず、人間様の都合になど合わせる気はさらさらない。それがふつうの猫であると思っていた。
 スーは違った。こいつは自分を犬やブタだと思っているどころか、人間と勘違いしているフシすらある。しょっちゅう話しかけるように鳴いてみせたり、相方と並んで座っていると割り込んできたり、枕を使って寝たりするのだ。
 我が家はぼくが自宅で仕事をしていることもあって、スーがひとりでいる時間はそれほど多くない。だが、孤独に弱いスーは誰かが帰ってくると玄関先まで出迎え、床を転げ回って服従のポーズをとり、すぐさま「遊べ遊べ」と催促をはじめる。
 こっちも猫にばかりかまけてられないから、原稿を書いたり、昼寝をしたり、ベランダで一服したり、なかなか忙しい。スーは勝手に遊んでいて欲しい。だが、原稿を書いているとヒザの上に乗ってきてキーボードは叩くわボールペンは落とすわジャマの嵐。昼寝をしようとすればさっきまでガーガー寝ていたに違いないのにふとんにもぐりこんでくる。ベランダに出ればすぐさま後を追い、タバコの煙のとどかないところでじっと待機。吸い終えるとそばにやってきてゴロゴロのどをならし始めるのが常なのだ。
 おまえなあ、少しは猫としての野生味っちゅうか、人間なんか見下すような高貴な雰囲気を漂わせることはできんのか!
「ごろごろごろごろ」
 ぼくとスーだけが家にいるとき、トイレにはいると大変である。スーはトイレの外でじいっと待ちかまえていて、用を足し終える頃をみはからってドアの下から手を差し出すのである。つきあって手を握ったりするとおおはしゃぎで、いつまでもそうしている。これで、オシボリでも持ってきてくれたら役に立つんだが、もちろんそんなことはしない。ひたすら、遊びたいだけ。かまってほしいだけ。
 まあ、それでつい、かまってしまうぼくもよくないのかもしれないけどさ。

第8回 内弁慶スー
 うちのなかでは我が物顔でふるまっている猫スーも、いざ外に出るとからきし臆病者だ。3日に一度くらい、ドアを開けると勢い良く飛び出し、マンションの踊り場で転げ回り、自分の匂いをなすりつけるのだが、少しでも音がすると即座に家に戻ってしまう。ドアが閉まっていたりするとパニック状態になるのか、もう必死である。
 踊り場でさえそうなのだから、表になんぞ連れ出したら、まさに借りてきた猫である。びびりまくりだ。
 相方の実家で猫(雄、6〜7歳)を飼っているので、スーも友達がほしかろうと、ときどき連れていくのだが、そんなときはビビリまくりである。一度など、相方が抱き抱えてエレベーターに乗ったら心の底からビビったらしく、思わぬ反応を示した。
「ヒィ〜」
 鳴きながら小便をもらしたのである。
 相方のパンツはスーのオシッコでビショビショになってしまった。
 実家につくと猫(ティミーというアメショーのおじさん)がいた。まだ子供だったスーは、とりあえず腹を見せて服従のポーズをとり、おそるおそる接近を試みるが、まったく相手にされない。
 スーはいじけ、小さくなってひとり遊びをするのであった。
 そのくせ、家に戻ってくると、いままでのは何だったかと思うくらいにのびのびし、うれしそうに走り回る。
 スーは家が好きでたまらないみたいだ。
 こんな狭い世界で、よく飽きないと思うのだけど、自分の匂いがするから落ちつくのだろうか。

第9回 スーのプロポーション
 猫スーは小顔である。小さい顔に大きな目と妙な耳だから、間抜けな顔になるわけである。他に小さいといえば鼻の穴がじつに小さいけど、これはどの猫でも一緒だろう。犬と違い口を開けて呼吸することはまずないから、よほどうまくできた鼻の穴なのだと感心している。鼻毛はあるのだろうか。
 顔が小さいから、人間風にいえば、尻尾まで含めたら7〜8頭身のモデル体型ということもできる。が、それはあくまで顔が小さいってだけの話だ。スーは下半身デブなのである。お尻デーン、腹はパンパン、手足むくむく、尻尾も太い。まさにイタリアのおばちゃん体型。下半身が別人格のようである。胴も長い。のびをするときなど、ゴムのように身体が伸び、短い手足がちょこんとくっついている感じ。
 前にも書いたが、子猫時代から階段でハードトレーニングをしてきた結果、リッパな下半身が育成されたのだ。こいつは年がら年中ボールを追いかけまわし、ビニール袋と格闘し、ときにはターゲットもないのにしゃかりきになって飛びかかっていく猫だが、飛ぶ前に必ずプリプリと腰を振る。我が家ではその後ろ姿を見るたびに「マヌケだ、本当にマヌケだ」とか「今日はセクシースーちゃんだ」なんて会話が交わされている。
 尻尾を身体に巻き付けたおすましポーズになると、とても一匹の猫とは思えない。小さい顔から首、胸前までが普通の猫で、そこから下はまるで二人羽織っていうのか、後ろから別の猫がボヨヨ〜ンと覆い被さっているように見える。うずくまった姿は、くすんだ毛色のせいもあり、ツチノコさながら。後ろ姿は何かの置物といっても通用する。それが、声をかけると首だけこっちにまわして「ブー」。こいつ何者なんだと不思議な気分になってしまう。
 いまは若いから全体に張りがあるが、これで年をとったらボヨヨ〜ンはさらに進むだろう。とくに腹まわりには気をつけねばならん。ということで、次回はスーのダイエット作戦。
第10回 スーのダイエット
 体重をしばらく測定していないが、猫スーがぽっちゃり型であることは疑いの余地がない。5キロはないにしても4キロではきかないだろう。そこで半年ほど前からえさをダイエット用のものにしているのだが、2カ月ほど毛玉対策用のにしていたらまただぶついてきた。好き嫌いがなく、だいたいのものは食べるから、どうしても太るのだ。
 階段トレーニングも以前ほどノリがよくないのはカラダが重いからだろうか。ハエやハチをおいかけまわすことで運動不足を解消しているものの、これではダイエットできやしまい。前回からの期間でいくらかやせたら写真をアップしようと思ったのだが。作戦失敗である。
 運動はしているのだし、無理にダイエットする必要もないんだけどね。
 さっき好き嫌いがないと書いたけど、スーが興味を示さない食べ物もある。
・肉。とくにベーコンはまず食べない。
・ちくわ 以前はまったく食べなかったが、腹が減っているといやいや食べる。
・ソーセージ 添加物が多いからか、空腹でもまず食べない
・たまご どういうわけか手を出さない
・野菜炒め これを食べたらすごいが、食べない
 逆に暑くなって食べ始めたのがひややっこである。豆腐はいけるようだ。
 当然、アイスクリームは好きである。
 まあ、スーの生活は単調なので、メシは楽しみなんだろうなあ。暑くなって昼寝の時間が増し、ぐた〜としているスーであるが、先日、思いがけない存在価値を示した。こいつ、仕事は慰安だけ、メシと昼寝付きの永久就職先をゲットしてのうのうとしているだけかと思ったら、じつは隠された使命を果たしていたのである。
 なぜ、朝は寝坊し昼間もごろごろしているのか。それは深夜、働いているからだ。スーは我が家を狙う悪霊たちと、夜な夜な死闘を繰り広げているのである……。
第11回 夜の戦士?猫スー
  私が麻雀に明け暮れて不在だったある晩のことである。相方はなかなか寝付けずモンモンとしていた。こういうときはロクなことを考えないもので、弱気のムシが頭をもたげてくる。そんなときだ。ふとんのなかでのどをゴロゴロさせていた猫スーが、突然飛び出して、相方の腹の上に乗り、ドア付近をキッとにらむこと数秒間。激しい勢いでドアにダッシュし、階下に駆け下りていったという。そして、相方が眠るまでスーは階下で暴れまくっていたらしい。その様子は、まるで何者かと闘っているようだったそうだ。
「きのう、私はスーに守ってもらったんだ」
 朝になり帰宅した私に、相方はマジな顔でいうのだった。
 そりゃきっと何かの偶然、ドア付近で音がして階下におり、ボール遊びでもしていたんだろうと私は思った。
 それから数週間後のことである。昼寝をしていた私が、猛烈な悪夢に眼を覚ましたとき、ガバッとスーがやってきて、同じようにドア付近をにらみ、尻尾を振り、ダッシュしたのである。
 なるほど、このことか。確かに階下を走り回っている物音は、悪いものから私を守るために闘っているようにも聞こえてくる。
 10分後、戻ってきた猫スーは心なしか疲れた様子で、さっさと自分の寝場所に行くと丸くなってしまった。
「やっぱりね。スーは役立たずだと思っていたけど、気がつかないところで貢献しているのよ」
「まったくだ。これからバカスーと呼ぶのは控えよう」
 こうして、猫スーの地位は向上し、惰眠をむさぼっていても「夜中に備えて英気を養っている」と我々は勝手に解釈するようになった。アホである。
 が、そういう眼で見ると、なんとなくこの猫が守護神のようにも思えてくるし、そのほうがおもしろいので、そう考えるようにしている。

第12回 セミの声に尻尾ぶるぶる
 夏も終盤。そろそろセミの声が耳につく。スーはこのセミの鳴き声がことのほか気にかかる様子で、声を聞きつけると尻尾をカクカク振り、口をビビッと震わせながら戦闘態勢にはいるのである。
 とはいえセミはどこにいるかもわからず、戦闘態勢に入ってはみたものの動きが取れず、やがてそのままダランと力を抜いてへたりこんでしまうのが常。そんなことを日に何度となく繰り返す。
 この前は寝ようとしていたら階段をダッシュで上がってきてベッドに飛び乗り、得意満面の態度で何かを口から落とした。
 やばい、ゴキブリか。それともカナブンかなにかか。
 緊張のなかあかりをつけると、そこにいたのは小さな小さなてんとう虫であった。
 それでもスーはゴキゲンで虫をオモチャにしている。挙げ句の果てはひょいと食べてしまう。腹の足しにもならないだろうに、ハエも食べるし、最後はとにかく食うことにしているようだ。まあ、いたぶって楽しむだけよりはいいと思うが。

第13回 うさちゃんがいればいい
 猫スーの行動は食事、睡眠、遊び、見回りが中心となっている。外に出していれば猫どおしのつきあいなども生じるのだろうが、家猫なのでそれはなく、じつにワンパターンの暮らしをしている。それでけっこう楽しそうなのだからエライというかなんというか。与えられた条件であるがままに生きるスーなのだった。
 生活に色をつけるのはなんといっても遊びだ。これにはさまざまなボール遊びを筆頭にバリエーション(といってもほとんどどれも同じ)があるのだが、最近の気に入りは「うさちゃん」遊びである。
 なんかのオマケについていた長さ20センチほどのウサギの毛がよほど好きらしく、しじゅう弄んでいるのだ。触感がいいのかな。猫スーは毛がやわらかく、触って気持ちがいいのだが、ウサギはもっとフワフワなので、スーも快感があるのかもしれない。
 寝ようとすると口にくわえてベッドの上にやってきては「さあ遊べ、ブー」。んなこといわれてもポンと放り投げるぐらいしかないのだが、そうすると速攻で取りにいってじゃれ、またくわえてもどってくる。その行動は驚くほどしつこい。
 たぶん、誰もいないときはひとりで、うさちゃんと遊んでいるのだろうな。

第14回 キャンプは嫌いよ!
 この夏の話である。我が家では近場にキャンプに行くことにし、わずか1泊とはいえ置き去りはできんしという理由から、猫スーを連れていくことになった。
 猫の気持ちはわからないが、たまには外出もいいだろう、ましてそれが山なら野生の血が騒ぎ、けっこう楽しめるのではと人間の頭で勝手な想像をしてしまった面もある。
 大間違いであった。慣れぬ環境は猫スーの理解の範疇を超えているらしく、キャンプ場につくなり段ボールのなかに隠れ、じっとしているのだ。その表情にあるのはずばり「恐怖」。
 それでも数時間のうちには慣れてくれるだろうとの願いも虚しく、スーはおどおどしっぱなし。段ボールから出てもテーブルの下から出ようとはしない。大好きな虫などもいっぱいいるというのに、うらめしげに私を見つめるその目には「早く帰りたい」と書いてあった。
 うむむ、こんな根性なしに育てた憶えはない、と情けなくなるのだが、よく考えてみれば女一匹たくましく生き抜く根性がないからスーは我が家にやってきたのである。
 その資質を見抜き、スーを連れてきた猫は、よくわかっていたのだなあ。そうそう、あの猫は我が家に通ってきていたノラ猫ファミリー「かあちゃん一家」の次男だった。懐かしい。あの一家はたくましかった。
 というわけで次回は我が家がスーを飼うにいたる前の「かあちゃん一家」とのつきあいを思い出してみよう。

第15回 強くなれ
 しばらくのご無沙汰です。猫スーも無事に21世紀を迎え、ダイエットに励みながら日夜ゴロゴロしています。前回、猫スーが我が家にくるまでの「かあちゃん一家」の話をすると予告していたのですが、それは次回からにまわすことにします。というのもまたやりやがったからです。そう、おもらし。
 しかも今日は、尋ねてきたKさんカップルにビビリ、初めて家の中でチビリやがったのでした。まさしくノミの心臓。
 年末から我が家には毎日のように客がきて、スーの心中穏やかでなかったことは容易に想像できますが、ここへきて小心者ぶりに拍車がかかった印象です。やはり飼い主に似るんでしょうかね。見ていて情けないです。
 これじゃ看板娘の名がすたるぞ。もっと強くなるんだ猫スー。
 かくなるうえはショック療法しかありますまい。私は決心しました。しばらくは積極的に外に連れ出し、少しでも内弁慶を克服するよう特訓すると。
 果たしてノミの心臓に毛が生えることはあるのか。皆様、次回以降の報告をお待ちくだされ。

第16回 スー写真にダマされるな!!
 前回に続いて、かあちゃん一家のことを先送りにしての猫スー・コラム。今回はスーの人気の素を探ってみよう。
 なにしろこいつは店主より女性に人気があるのだ。それというのも私が懸命にスーを魅力的に書いているからにちがいないのに、スーのやつは何の努力もせず人気者である。
(ただいまスーが部屋に入ってきて、自分の足の指をなめている)
 おそらく人気の源は、サイトに掲載した写真にあるのではないか。階段に転がってふにゃ耳を立ててこっちをみている写真に、みんなノックアウトされているのだ。きっとそうだ。
 まぁあれはたしかに、よく撮れた写真ではある。しかし、撮影したのはいまから1年以上も前のこと。まだまだ小娘時代のスーなのだ。あれからずいぶんと身体も大きくなり、体重も増え、可憐な少女時代は完全に過去のものである。
(スーが強引にヒザの上に乗ってきた。お、重い)
 したがって読者の方々は、可愛かった頃のスーを見て、ファンになっているのである。だまされてはいかんよ。こいつはもう、2才半なのですからね。性格は小心者だし、上品ともいえない。きのうなど、よほど腹が減ったのか、流しに乗って生ゴミをひっかきまわしやがったもんな。
(ゴロゴロと喉をならし、うれしそうである)
 ただ、頭は思ったほど悪くないみたいだ。悪いことをすると怒られることをしっていて、今朝なんか人間が近寄るだけで逃げてしまうのである。自覚はあるのだ。つかまえてきつく叱ると、2〜3時間はしょんぼりしている。
 が、一見反省しているようにみえて、これは演技である。うなだれたスーの前にヒモをぶらぶらさせるだけで態度は豹変。すべてを忘れて飛びかかってくる。
(毛づくろい開始)
 バカだか賢いかわからんね。
(キーボードに手を出す)
 まあ、そんな今日この頃です。
(ボールペンをデスクから落として遊んでいる)
 我が家は平和だなあ。
(店主の手をなめる。毛づくろいしてやってるつもりなんだろう)

第17回 猫スーのトイレ事情
 スーのトイレは玄関にある。ドアを開けるとトイレである。
 子猫の頃は、たしか台所にあったような記憶があるが、いまの家に越してからは玄関先が定位置。トイレ当番は私で、新聞紙を敷き、その上に小さく切ったものをのせておくと、うまいことトイレを済ます。
 清潔さはまずまず保たれている。猫はきれい好きだから、替えるのを忘れているとブーブー泣いて抗議されるからだ。理由もないのに怒っているときは、たいていトイレ交換の要求だと思っていい。交換すると、それを待っていたかのように、うんちしたりするのですぐにわかる。
 ただ、このうんちが、けっこうクサイのだよ。固形食がメインなのでころころ堅いくせに、なかなかの匂いを発する。まぁそれは仕方がない。問題はトイレをするタイミングだ。
 こいつは、夕食を食べているとき、これみよがしにするのである。さぁ鍋ができた、うまいうまいと喜んで食べていると、「ん、なんか匂うな」。で、元をたどると用を済ませたスーがすまして座っている。今日もそうだった。昨日もそうだった。
 しかも、朝食のあとでも「コツン、コツン」と乾いた音を立てて、うんちが放出されることが少なくない。食べたら出す。一日二度のハイペースである。
 やばいと思い、トイレを覗くと、じつに入念に新聞紙をかきむしって、うんちを隠そうとしている。んなことしたってバレバレなんだよ。どきなさい、と近づくと「苦労して隠したのになにすんねん!」って顔。
 ホヤホヤのうんちを専用シャベルですくって水洗トイレで流すのを、不満そうな表情で眺めていたりする。
 何を考えているんだかなあ。

第18回 西荻かあちゃん一家編(1)
 以前に住んでいたところはフラット形式の2階建ての家で、猫の額ほどの庭がついていた。
 この庭は、ポン吉と名付けた茶トラ猫のテリトリーらしく、しょっちゅう見回りに来る。
 しかし、ポン吉は顔は可愛いがマヌケで迫力もない。妙に人慣れしているところをみると、どこかの飼い猫に違いなく、性格もよくいえば温和、悪くいえば小心者。そのため、近所の野良猫たちは、さして気にせず、ここを通り道にしていたのである。
 そんなある日、庭を見ると1匹の白黒ブチ猫がやってきた。
 小柄で、ややキツめの超美形。ポン吉を無視し、我が家の庭を物色するように、しばらく様子をうかがっている。そして、ぼくが気まぐれに投げた、食べ残しのサカナをくわえ、逃げるように去っていった。
 きっと腹が減って、テリトリーを超えて遠征してきたんだな。まぁ元気でやってくれや。
 ところが、翌朝のことである。庭に面したリビングのカーテンをあけると、道具入れにしようと外に出していたカラーボックスに、昨日のブチ猫と子猫が4匹、丸くなって寝ているではないか。
 私の視線に目を開けたブチ猫は
「よろしくおねがいします。あたしゃここで子育てします」
 とでもいうように、軽く頭を振った(みたいだった)。なるほど、昨日は、一家もろとも引っ越す場所を探しにきていたのだ。この猫はかあちゃんだったのだ。
 子猫たちは、まだ生後まもないかんじで、ぬいぐるみのようだった。目をさますと、かあちゃんのおっぱいを、先を争って飲んでいる。油断なく周囲に気を使いつつ、乳を飲ませる美形のかあちゃんには風格があり、じっと見つめられると、とても「でていけ」と言える雰囲気ではない。
 まぁ、いいか。ぼくは、庭をかあちゃん一家に提供することに決めた。でも、ポン吉とケンカにならなきゃいいがな。
 そう思って視線を走らせると、庭の隅(フラットなので何軒か庭が連なっている)に奴がいた。いちおう「わしの縄張りだじょ」とばかりに尻尾を高くあげているが、目つきはむしろやわらかく、かあちゃんを見つめている。
「おまえ、まさか」
 どうやら、ポン吉はかあちゃんに一目惚れしたようであった。(つづく)


 
 

第19回 西荻かあちゃん一家編(2)

 ポン吉は推定2歳。恋もしたいし子孫も作りたい若者である。
 それに対し、かあちゃんは推定3歳の子連れ。バリバリのノラ育ちで、美貌を武器に牡猫どもを手玉に取ってきたに違いない、生活力ある女である。まして、いまは子育ての最中。ようやく住処を確保したところで、愛だの恋だのいってる気分ではない。そんなヒマがあれば 子猫に乳をやり、食べ物を探さなければならないのだ。
 世間知らずのポン吉は相手の事情などおかまいなく、かあちゃん一家への接近を試みる。つっても、5メートルほど離れたところからじいっと見ているだけ。それ以上近寄ると、かあちゃんに「フーッ」と威嚇されてしまうのだ。
 終日、ぼけーっと一家を見ているだけのマヌケなポン吉と、必死で子供を育てようとするかあちゃん。
 だが、2匹の関係はその後、なんら進展せず、かといってあきらめの悪いポン吉は、かあちゃんを思って夜中になるとそこらじゅうで騒ぐ。
「情けないなポン吉は」
「あれじゃ、かあちゃんのハートは射止められそうにないね」
 子猫たちのむじゃきさも手伝い、我が家でもあっという間にポン吉の評価は下がっていった。
 だが、かあちゃんは、よき母猫であるだけなのか。そうではない。女一匹でノラ社会を渡り歩くかあちゃんは、恋多き女でもあった。
 4匹の子猫のうち、2匹はかあちゃんと同じ白黒ブチだが、あとの2匹は黒猫。そのことから推定して、父親は黒猫と思われるのだが、一家が居着いてしばらくした頃から、大きな黒猫が、たまに姿を見せるようになったのである。父猫だ。ぼくから見てもポン吉なんぞよりずっとカンロクがあり、落ちついたオヤジ猫。この猫がくると、子猫たちは逃げることなく遊び続けるところをみても間違いないだろう。
 オヤジ猫は子供に会いに来るのではない。我が家が一家のためにあげているミルクやえさが目的なのだ。ポン吉がそばにくると威嚇するかあちゃんも、黒猫がミルクを飲んでいるのを止めようとはしない。何かモメゴトがあったとき、頼りになるのはアンタだからね。そんな感じで黒猫を立てている。
 ある晩、なんのになしに外を見ると、暗がりの中で、牡猫とかあちゃんが仲良く寄り添って座っていた。しかも、かあちゃんは、牡猫をグルーミングしてあげているではないか。
 カラーボックスでは子猫たちが、ときどきカラダをピクピク動かしながら、折り重なるように丸くなって熟睡している。
 どこからか、ポン吉の狂おしげな叫び声が聞こえてくる。(つづく)

*動物行動学者シミズさんよりのご指摘
まず、ネコ社会ではメスネコは複数回交尾が当たり前なので、 かあちゃんに限らずすべてのメスネコは恋多き女です。
1回に生まれる子供のとうちゃんがそれぞれ別のネコ、なんてこともあります。
それとかあちゃんが白黒ブチで、子供が白黒ブチ&黒の場合、とうちゃんネコ候補の模様は遺伝的に、 黒・キジ・トラ・しもふり(アビシニアンみたいな)・シャム・シルバー・淡色&これらの組み合わ せ(淡色キジトラとか)になるので、必ずしも黒色だけではありません。
ブチ子と黒子のとうちゃんが違う場合は、とうちゃん候補がさらに増えます ポン吉は茶トラということなので、とうちゃん候補から外れます。
メスネコは基本的に子育てをしていると発情しないので、オスがそばにいることを嫌います (ネコは単独性なのでオスは子育てに参加しません)。
ポン吉がどんなに求愛しても子供がいる限り絶対にかあちゃんのハートを射止めることは無理でしょう。 ライオンで子殺しが起こるのはそのためです。
ではなぜ黒猫がそばにいても威嚇しないのか? 子供も逃げないのか?グルーミングするのか?
私の予想ですが、黒猫はおそらくかあちゃんネコの兄弟か子供だと思われます。 かあちゃんが最初に生んだ子とすると、黒猫は2才ぐらいなので、 体格が良いのもうなづけます。

第 20回


ながらくサボッていたこのコラム、ようやくの復活であります。途中で終わったままの“西荻かあちゃん一家物語”はおいおい再開するとして、今回はここんとこやってた「猫びより」撮影の話。
HPを見た担当の伊勢さんから「次号、遊びの特集でスーに登場してもらいたい」と依頼があったときは、断ったほうがいいかと思った。スーは極度のチキンハート。撮影に耐えられるはずがないからだ。しかし、それも悔しい。そこで、我が家に出入りする人間の中でスーがもっとも気に入っている(らしい)大池君に撮影を頼み、通ってもらうことにしたのだ。
気に入っているといっても、それは「アワくって逃げない」程度のことなんで、前途多難である。

まず初日、大池カメラマンは機材を持ち込み、スーに匂いを嗅がせ、シャッター音に慣れさせるところから始めなければならなかった。ビビらせるとイカンというので、撮影は最小限。
何日かおいて2度目。このときはスーの機嫌がよく、得意の階段ボール遊び、トイレのドの隙間に手を突っ込む遊び、椅子に飛び乗って人間を脅かす‥‥などをした。でも、動きはぎこちなく「まぁこれくらいやっとけばいいでしょ」みたいなノリである。しかも、時間の経過とともに意欲をなくし、まったく遊ばなくなる始末。

そして3度目はマタタビで機嫌を取ってもテコでも動かない置物猫と化した。
このままではまずい。北尾と大池君は頭を抱えた。で、作戦を練った。
まず、スーのノリがいいのは長くて1時間。じっくり構えて撮るとか、じゃらしてエンジン全開にしようと人間がたくらむと裏目に出る。短期決戦あるのみ。レンズを近づけると警戒するので距離を取ることも必要だろう。
そして、いちばん大切なのは、シャカリキにならないこと。こっちが追いかけると、スーは不信感が増すようなのだ。当然である。いつもは自分が遊べ遊べと催促しているのに、撮影のときだけ文字通りの猫なで声で接近していたのだから。
どっちが「遊んでやる」というキモチの余裕を持てるかで、勝負の行方は決まるに違いない---。
4度目のトライ。ついにスーがハジケた!
遠くにヒモを投げたときだ。運悪く、ちょうど真ん中にカメラを持った大池君がいたため、スーは動かない。だが、しかし‥‥。
5秒、10秒とたつにつれ、下半身が小刻みに揺れ始めた。そして、ヒモめがけて走り出し、カメラの前で急ブレーキ。レンズの匂いを嗅ぎ、トコトコと歩く。「アンタには負けたわよ」とでもいうようなコビた目線。ついにスーは大池君の存在を認めたらしい。
いまだ。私はボールをつかみ、立ち上がった。
「ブ、ブブッ」とブタ泣きしながら階段をダッシュし、投げろとせがむスー。
「おおっ!」、大池君が唸る。
「よっしゃー!」、北尾が吠える。
撮影は無事に終わった。そして、執念のボールキャッチシーンを激写した大池君は、見事に専属カメラマンの座を揺るぎなきものにしたのであった。
                             

第 21回どうなのよ小便猫

 久しぶりに入浴させようと準備をしているときから、猫スーは緊張していた。いや、風呂が嫌いなのではない。いつも最初は抵抗するが、すぐにおとなしくなるのだ。
 緊張の理由は別にある。スー専用のタオルを取り出そうと、バッグを開けるときに、鈴の音が響いたのである。外出時、使うバッグだとピンときたようなのだ。
 猫スー最大の恐怖は外出。びびりまくりだ。これからバッグに入れられ、どこかに連れて行かれるに違いない。鈴の音を聞いたスーは確信した。逃げねば、二階に逃げねば。
 そこをムンズを捕まえたのが、スーの恐怖を知らない北尾であった。「スー、風呂に入るぞ」と抱きかかえ、階段をトントン下りる。極限に高まる恐怖。抵抗する術もない。そして、またやってくれた。
 じょじょじょじょ。
 小便である。抱え上げた腕から噴水のようにチロチロと吹き上げる小便。これがまた、けっこう出るんだ。たちまちカーペットはびしょびしょである。
 部屋での粗相はこれで二度目のことになる。前回は連れ出そうとしてもらしやがったんだが、たまたま溜まっていたところに緊張が重なってのことだと思っていた。しかし、そうではなかったのだ。かつてはエレベーターまでがまんできていた(ま、結局もらすんだが)のに、ガマンがきかないカラダになっている。クセになりつつある。
 まずいぜこれは。
 出し終えても固まったまま動かないスー。なかったことにしてくれと上目使いでこっちを見ている。早くもオシッコ臭い匂いが立ちのぼってきた。ったく、しょうがないなあ。もう4歳。人間で言えば30代ではないか。こんなことでチビっててどうするんだ。とうちゃんは悲しい。
 克服させねばならんな。よし、夏の間にブックカフェに何度か連れていこう。小便くらいなんぼでもせえ。慣れればやがてしなくなるだろう・・。
 そんなことを考えている北尾のそばで、猫スーは風呂上がりの濡れた毛を、いつまでもいつまでも舐めている。

第 22回新しい好物
 
このところレトルトパックを与えているんだけど、やや量が少な目のため、ご不満らしい。
 そのため、人間の食事に並々ならぬ関心を寄せているスーなのだった。とりあえず、イモ、
 豆腐、枝豆は食べる。
 猫スーが海苔、アンコ好きであることは既に書いたが、新たに好物が発見された。
 トウモロコシである。
 一粒ずつ味わうように、甘さを噛みしめるように、食べるのだ。
 粒をいくつか手のひらに載せ、頭上にかざすと、リスのように二本足で立って手を伸ばし、
 器用に食べる。
 めずらしい猫だと思うがどうなんだろうか。いったい猫の好物にはどんなものがあ
 るのか知りたくなってくるなあ。

第 23回踏み踏み攻撃 
このところ、スーの踏み踏み攻撃で目覚めることが多い。
 毛布など毛の長い柔らかいものの上にいると、子供のころのなごりなんだろう、かあ
 ちゃんのおっぱいがでやすくなるように踏み踏みするようなのだ。は〜ふみふみふみ
 ふみ。正式には(何が正式やら)揉み揉み攻撃なのかもしれん。
 最初はリズミカルな前足のステップにぼんやりと目が覚め、なかなか気持ちのいいん
 だが、そのうち腹の上の重みが実感されてきて、わかった起きるよ起きるからやめい!
 と目覚めるのである。
 この踏み踏みが行われるのは毛布が登場する秋である。さらに寒くなるとふとんへと
 移行するので止まり、ふとんのなかで寝るようになるのだ。
 期間は1カ月ほどだろう。スーの踏み踏みは、我が家の秋の風物詩なのだった。     

第25回 モーちゃん危機一髪!

猫モーは人なつこいので、ときどき友人に預かってもらっている。今回はその友人宅で起きたモーの大ピンチについて、で、その友人宅の同じマンションに住んでいて、やはりモーを預かってくれたりしているマンガ家の石堂まゆさんとばったり会ったら「すごいことがあってさ」と、いきなりマンガを描き出した。まゆさん、家に帰って色まで塗ってくれたので、こりゃおもしろいってことで、このコーナーで公開しませう。ちまにみモーは大ピンチにも涼しい顔で、懲りずにベランダにでているそうな。

 

第24回 猫モー登場!

  
2003.4.1に生まれ、墓地にいたモー。栄養失調でボロボロのところを北尾家に

    
シモマン家に預けられ、持ち前の生命力でみるみる快復。2週間で猫らしい顔つきになってきた
    
やんちゃな小僧に成長し、ブックカフェでは招き猫として活躍するまでに
   

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