明後日もその次もカレー








7月15日


いなくなって、改めて君の存在の大きさに気が付いた。

僕はそれなりに上手にやっていたつもりだった。

そんな小賢しさが、逆に自分の首を絞めることになってしまった。

まるでぽっかりと大きな穴が開いたみたいだ。完全にとまどっている。

いつもなら簡単にできることですら上手くいかない。

今後どうすればいいのか。何も思いつかない。

決して出ることのできない迷宮に入り込んでしまったようだ。











会社の近所の肉屋さんでカレーを売ってまして、僕はちょくちょく利用しているのですが。


この店は肉屋さんということで揚げ物が充実しています。コロッケカレーやカツカレーはもちろん、ハムカツカレーやメンチカツカレー、チーズささみカレー等々。

しかし、揚げ物というのはあれでなかなか注意が必要な食べ物です。こちらとしてはできるだけ揚げたてザクザクを食べたいわけですが、この肉屋は昼食時に一斉に客が訪れるので、ある程度の揚げ物を作りおきしてあるのです。作りおきされて時間の経った揚げ物はコロモがしんなりしてしまい、キレが無くなってしまいます。これは非常に悲しい出来事だと言わざるをえません。



そこで僕が取っている作戦が、昼食を買いにいく時間をズラすという方法。具体的には1時ちょっと過ぎた頃。それくらいに行けば、作りおきの揚げ物が売り切れていて、注文をしてから改めて揚げてくれるのでしっかりとザクザクが楽しめるという寸法です。ふふふ、我ながら賢いな。やはりこの世の中、知恵を使ったものが勝つのだよ。何も考えずにのうのうと過ごす連中は、せいぜいしんなりカツを食っていればいいのだ。ふははははははは。




今日も喜び勇んで1時ごろに肉屋に行きまして(今週3回め)、チーズささみカレーを注文しました。あんのじょう作りおきは売り切れていたので、今から揚げてくれるようです。多少時間がかかりますがそんなことは全くかまいません。



揚げたてアツアツザクザクのチーズささみ、そこにジャガイモやニンジンが大きく切られたカレーを絡める。もちろんカレーにはカイエンペパーをたっぷり入れるので相当に辛い。その辛さとコロモの香ばしさ、野菜の甘味、更にささみから出るとり肉の淡白な味わいとチーズのまろやかさが渾然一体となって口の中に広がる。コロモの歯ごたえはあくまでザクザクと心地よく、そこに咀嚼によって潰された野菜の柔らかさが混ざって、味と歯触りが単一になりそうになったくらいで、徹底的に甘く、香り高い福神漬がポリリと全体を締めてくれる。あああ想像しただけで勃起しそうだ。というか勃起した。




そんな感じで、肉屋の店頭でカレー妄想に耽っているうちに、いよいよチーズささみが揚がったようです。




チーズささみとはその名の通り、とり肉のささ身でチーズをくるんで揚げるものです。大きさ的には直径3センチ、長さは12センチくらいでしょうか。それを4〜5つに切り分けてカレーに乗せてくれるわけです。


まさに今、僕の目の前で油から引き上げられ、余計な油を落とし、まな板の上に置かれるチーズささみ。それを包丁でザクザクと4つの肉片に切り分ける。ふふふ、親父、相変わらず見事な包丁さばきだな。


そして次にカレーの準備を始める親父。スチロール製の容器にごはんを詰め込み、大鍋で煮込まれているカレーを、容器に設置されているカレー用スペースに流し込む。今まで何百回とくり返してきたであろう熟練の動きだ。まるで踊りを舞っているような親父の動きに感動しつつ、ふと厨房に視線を向けました。そこで僕は、大変なものを見てしまいまったのです。



まな板の上で切られたチーズささみの切り口から、熱によってトロトロになりすぎたチーズが流れ出しているのです!




フラッシュで説明するとこんな感じ。






ああああなんていうことだ!止めろ!チーズの暴走を止めろっ!僕が目を見開いて口をパクパクとさせているというのに、肉屋の親父ときたらのんびりと鼻歌混じりに福神漬をセット中。事の重大さに全く気が付いていない。なんということだ。早くしてくれっ!


夏の熱気も加わり、異様に汗をかいている僕をしり目にして、ようやく親父はカレーの準備を終えてカツをごはんの上に乗せようとしています。チ、チーズは?包丁の背とかで、垂れた分をすくってくれたりするのか…?最後の望みをかけて、まな板を見守る僕。



しかし、しかし 無情にもまな板の上に垂れたチーズは、何一つ手を付けられることなくそのまま放置されてしまいました。親父のフォローは何もなし。あんまりだ。オフィス街でほとんど唯一の肉屋なので、殿様商売になってしまっているんだ。前々から気に入らなかった。とんでもないクソ親父だ。


だからといって、まな板の上にこぼれたチーズを何とかしろだなんて、人間の器が小さすぎるようでとても言えない。さっきまでの幸せな気分はどこへやら、一気に地獄の底に落とされた気分です。




絶望にうちひしがれながら会社に戻った僕。カレーにカイエンペパーを混ぜて、いざチーズささみを調べる。…嗚呼、やはり。チーズが詰まっているはずの部分は、すっぽりと穴が開いているだけ。わずかに穴の下の方にチーズが張り付いているが、これだけの量のチーズでカツに戦いを挑もうなど無謀もいい所。世界を救おうという勇者にひのきの棒しか与えないような惨い仕打ちです。


案の定、カレーはいまひとつでした。ささみの肉の味は美味しい。しかしチーズが無い分、味の深さが今一つ足りない。こうなると全体のバランスが崩れてしまい、スプーン1杯のゴハン、カツ一切れに対するカレーの分量が読めなくなってしまいます。結果、残りゴハンがスプーン4杯分くらいの地点で、カレーがほとんど無くなるというとんでもないミスを犯してしまいました。調子が悪い時は何をやってもダメだといいますがそれにしても…。



明日から僕はどうすべきなのか。全く見当がつきません。揚げたてが食べたい。しかし揚げたてすぎだとチーズが流出してしまう。ほどほどに揚げたてにしてもらうにはどうすれば良いのか?頭をフル回転させているのだが、どうにも解決できません。これに比べれば、先日のボールのクイズなんて子供騙しもいいところだ。世界は不条理に支配されている。




いなくなって、改めて君の存在の大きさに気が付いた。

僕はそれなりに上手にやっていたつもりだった。

そんな小賢しさが、逆に自分の首を絞めることになってしまった。

まるでぽっかりと大きな穴が開いたみたいだ。完全にとまどっている。

いつもなら簡単にできることですら上手くいかない。

今後どうすればいいのか。何も思いつかない。

決して出ることのできない迷宮に入り込んでしまったようだ。








とりあえず明日はメンチカツカレーにします






7月10日

みんなクイズ好きすぎ。(前回の日記の感想)

それにしても暑いすね。会社で座りっぱなしの仕事だというのに、駅からちょっと歩くだけで帰宅時には汗だくですよ。


僕はデブなので、ちょっとでも痩せて見えるようにと黒いTシャツを着ることが多いんですが、こういった濃い色のシャツに大量の汗をかいた後でその汗が乾くと…なんていうかな。汗に含まれる塩分のせいで、シャツに塩が白く吹き出してしまうんですよ。あーあーそうだよ。どうせキモいよ。ほうらほうら暑いぞベトつくぞ!ほうらほうら!




しかし冷静になって考えてみて下さい。これって、僕がデブの男だから『不潔』『マジで近寄るな』『死ね』『死にさらせ』となりますが、これが万が一、可愛らしい女子高生やコスプレ少女から生み出された塩だったらどうですか?




夏コミが近付いています。今回もコスプレ少女達が西館のコスプレ広場に集まるのでしょう。夏の過酷な日射しに照らされて、いくら工夫をしようが、大量の汗をかくに決まっています。


そんな汗を集めて乾燥させて、塩を作ったとしたらどうですか。さくらたんのうなじやセーラーマーズの脚を伝っていた、いやまさにその部分から吹き出した汗ですよ?それで作られた、エキスの凝縮した塩。これはもう同じだけの重さの黄金を支払っても惜しくないと断言できます。



テキーラというお酒があります。あれは龍舌蘭というサボテンの一種から作られるお酒で、レモンをかじって塩を舐めながら飲むのが作法なんですが、このテキーラに究極の飲み方というものがありまして。

それが、龍舌蘭につく毛虫(グサノ・ロホ)のオシッコを乾燥させてできた塩を舐めつつテキーラを楽しむというものなんですが。(Bar レモンハートより)



今回、僕が提唱するこの女の子の汗の塩であれば、グサノ・ロホに負けない味わいが出せるに違いありません。もちろんそれだけじゃない。どっちの料理ショーでの厳選素材としても価値は十分。最上級天然塩をつけたゆで卵と、女の子から抽出した塩をつけたゆで卵。さあ、ご注文は…どっち!?よーし今年の夏コミは頑張って汗を集めまくるぞ!忙しくなるぞー!





原稿は全く進んでません(えー)






7月5日  ●23:15:クイズに関して追記しました。

サルヂエとかIQサプリとか、ちょっとしたクイズブームのようです。

子供の頃から、部屋で一人で「頭の体操」をくり返し読んでいた僕はこういったクイズが大好きでして。ビデオに撮ってまで見て、部屋で一人で己の頭脳明晰っぷりを喜んでおります。そんな僕が、今日は僕から皆さんにクイズを出したいと思います。あ、真面目なクイズですよ。




13個の、見た目が全く同じボールがあります。その中に、一つだけ重さが違うボールがありますが、他のボールよりも重いのか軽いのかは分かりません。てんびん秤を3回使って、重さの違うボールを見つけて下さい。




実はこの問題は、僕が小学生の頃に親父に教えてもらったクイズでして。その頃は解けないまま正解を聞かず、時々思い出しては考えていたものです。おかげで友だちがいなくても大丈夫でした。いわば親父の思い出のクイズ。ちなみに解けたのは高校生になった頃。


念のために言っておきますが、いわゆる引っ掛けとかなぞなぞ、ダジャレの類ではありません。「手で持って測る」「水に沈める」「転がす」「地面にめり込むまで待つ」「成分を調査する」などの変則技も不正解です。普通に理論的に考えて解ける問題なので、あえて正解は載せません。皆さんも時間の空いた時にでも考えてみて下さい。






で、今回の日記は、基本的には「こんな難しい問題を解けるなんてゴトウさんってキレ者なのね!ああ、私の脚を舐めて欲しい!」という女子が現れないかなーという目論みなのですが、冷静に考えると、僕程度が出した問題なんて、知的メガネ委員長レベル(全国模試で常に5位以内)(でも実は頭の中はエッチな妄想でいっぱい)ならば瞬時に解いてしまいそうだ。


その場合は、「こんな簡単な問題でイキがるなんてゴトウさん本当にみっともないったらありゃしない。私の爪の垢でも煎じて飲みなさい」という展開でも十分にいけます。もちろんその場合は足の爪および指の間を味わうべく、煎じたりせずに直舐めさせていただく覚悟。椅子に座って足を突き出して、侮蔑の眼差しで僕を見下ろして欲しいです。よろしくお願いします!





本当に瞬時に解かれたらちょっと凹む


追記:早速メールで答えを送って下さった方々がいらっしゃるのですが、その中で多かったのが


13個のボールを6:6:1に分けて、6個づつのグループを天秤に乗せる(★)

(★)の計量で釣り合えば、残りの1個が、重さの違うボール

(★)の計量で釣り合わなかった場合、軽い方は除外。重たい方を3:3に分けて天秤に乗せる(☆)

(☆)の計量で、軽い3個は除外。重たい方の3個を1:1:1に分けて、1個づつ天秤に乗せる(※)

(※)の計量が釣り合えば、残りの1個が重さの違うボール

(※)の計量で釣り合わなければ、重たい方が重さの違うボール



というものですが。

この方法は、「1個だけ重さが違うボールが、他のボールよりも重い」と分かっている場合は有効ですが、今回は「重さが違うボールが、他のボールよりも重いのか軽いのか分からない」となっています。つまり(★)の計量で釣り合わない場合、軽い6個を除外できないので不正解です。

ちなみにこの問題は、最初は12個のボールで出題されました。正解を出した後に、13個でもできると気がついて今回は13個で出題しています。基本的に考え方は一緒なのですが、冷静に考えると12個よりも13個の方が簡単な気がしてきました。他の人に出題する時は12個の方がいいかもです。こちらの方が難しいというよりも、答えが楽しい感じがしますので。



あと、上で「その中で多かったのが」などと書いていますが、実際に来たメールは2通で、多いも少ないもありませんでした。見栄を張ってごめんなさい。







7月1日

困ってます。

何が困ってるってコミケ用の個人誌です。いったいどれくらいの数量を作っていけば良いのか全く読めないんです。


手作りのコピー誌なので、ある程度ロット数の決まっているオフセットと違って自分の好きな数だけ作れるんですけど、果たしてどれくらいの数を作ればいいのか。大量に作りすぎて余らせてしまうのは悲しい、だからといって少数しか作らずに万が一にも品切れになってしまい、わざわざ来てくれた人に申し訳ない思いをさせるわけにもいかない。


こういったイベントは知り合いが急に顔を出してきて、進呈とかしてるうちに手持ちが減ってしまうパターンもあり得る。多めに作った方が良いのは分かってはいるんだけど、なにぶん家内制手工業なので、そこまで大量にも作れない。どれくらいが目安なのか。


いっそフォームを作って予約受け付けをしようかとも考えたんですけど、予約が0で終わってしまい、コミケ前から意気消沈してしまう可能性を考えると、とても恐くて予約受け付けなんてできません。「0だなんてそんなことないでしょー」などと考えている人、貴方はウチに来るメールの数を知らないからそんな呑気なことが言えるんだ。




冷静に考えたら、いつも無料で読める日記と大して違わない駄文を、わざわざお金を出して買う人なんているのだろうか。ましてやコミケなんていう戦場、壁サークルに並ぶために1秒でも惜しいというような場所で、僕なんかのブースに人が来るはずがない。ああ、もうだめだ。確実に0だ。


同人活動をしている知人が、「売り切れると困るから、予想されるお客さんの数×1.8くらいの数を作っておくといいよ」と教えてくれたのですが、0を何倍しようとも0のままだ。じゃあもう作らなくていいってことか。うむむむなんか混乱して訳が分からなくなってきた。


更にこの上、一冊当たりの価格をどうするか?ということまで考え出すと完全にパニックになる。僕なんかの文章に価格だって?しかし、人を楽しませようと頑張ったのならば、ちゃんとお金を頂くことが大事だという説もあるし、コミケというお祭りの場所代もあるし…ああああもうダメだ、何をどうしていいか全く分からない。とにかく落ち着いてしっかり考えなくては。うーむコミケで本を出すって想像以上に大変なんだなぁ。






原稿は全く進んでません(えー)





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